2010年7月27日
ディック・ディアデン、ジュビリー・デット・キャンペーン
先週やっと、国際通貨基金(IMF)は、ハイチがIMFに対して負う全債務の帳消しを発表した。
この帳消しにより2億6800万ドルの債務負担が一掃されることになる-これでハイチが未だ抱える債務のうち、最大の部分が消えることになる。
この帳消しはハイチ債務帳消しのために新しく創設されたPost-Catastrophe Debt Relief Trust Fund(大災害後の債務救済信託基金)を通して実施される。この基金はその他の災害に見舞われた重債務低所得国にも適用可能である。
この基金は既存の債務救済基金でまかなわれ、2011年末までゼロ金利で(債務危機に対応してすでにそう発表されている)、その後は0-0.5%で運用される。
しかし、より懸念されるのは債務帳消しの発表の同日、IMFがハイチと交わした新融資契約である。
これは6千万ドルという低利息の小額融資で、ハイチが外貨準備金を増やすためにIMFの拡大信用供与ファシリティ(ECF)の枠内で申請していたものである。
この準備金積み増し政策により、ハイチは巨額の海外援助が流れ込むことで為替レートが変動するのを防ぐことができる。
しかし、外貨準備が必要になるのはどうやら遠い先のことになりそうだ。今年初めには50億ドル(長期的には100億ドル)の援助を公約していた各国政府が、いまだわずかな額しか実施していないからだ。ブラジル一国のみが、公約通り5500万ドルを全額支給したと伝えられている。
小額融資とはいえ、このIMFの新プログラムには条件がついている。契約文書は公開されていないが、それらの条件には「マクロ経済の安定」(インフレ抑制政策を含む)と「財政管理の強化」(とりわけ注目すべきは「ハイチ共和国中央銀行の独立促進」)が含まれている。
加えてIMFは、ハイチが「民間信用供与と投資」の育成ができるよう、技術協力プログラムを立ち上げた。これにはハイチの国内市場でより容易に貸借できるようにすることが含まれている。
今までのところ、この技術協力は、ポール・コリアーが立ち上げたプログラムと非常によく似ている。彼は米国の「ハイチ復興プラン」を作成した。コリアーは、ハイチの復興は低コスト労働の繊維産業発展(一般にスウェットショップと呼ばれるものだ)と観光業に基づくべきであると信じている。
しかし、ハイチのキャンペーナーが明確に把握しているように、何世紀にもわたる搾取を通して国際社会に貸しがあるのは実はハイチの方なのだ。
カナダの活動家集団「ハイチから略奪された賠償金返却委員会(略称CRIME)」は2週間前、フランス政府関係者に成りすまし、「フランス政府は19世紀にハイチに巨額債務(奴隷蜂起でハイチが独立したことで損害賠償をフランスが請求し、それが巨額債務となってハイチ経済を圧迫した:訳注)を押し付けたことによる負債210億ドルを返済します」と虚偽の記者会見を行った。
彼らはフランス政府からの訴えるという脅しにも関わらず、活動を続けると明言している。
原文 http://www.eurodad.org/whatsnew/articles.aspx?id=4208
翻訳 大倉純子 債務と貧困を考えるジュビリー九州
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