2009年9月25日金曜日

でっと ばい Debt Bye! 第二号

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Debtばい! 第二号

 ※"でっと ばい Debt Bye!"は債務帳消し問題を扱うニューズレターです。自由にダウンロードしてご利用いただけます。




▼第二号の内容
・巻頭言…のようなもの
・影響下のパキスタン
・コレア大統領、不当な債務の調停案を作成
・新たなジンバブエ債務帳消しを
・世界の債務運動からの提言
・再び Illegitimate Debt について[下]


▼巻頭言…のようなもの
★ぜんぜん解決していない債務問題

 ドイツのジュビリー運動”Erlassjahr”が、6月に「新たな債務危機」と題する調査結果を発表しました。それによると1998年のHIPC(重債務貧困国)イニシアティブ、2005年のMDRI (多国間債務救済イニシアティブ)で「債務救済済み」とされた24カ国(うち20カ国がアフリカ、4カ国が中南米)の経済・債務状況を検証した結果、今回の金融危機以前の08年時点ですでに債務が持続不可能になりつつあったブルンジ、ブルキナファソなど12カ国に加えて、この金融危機によってカメルーン、マラウィ、マリなどが深刻な影響を受けています。またMDG(ミレニアム開発目標)が達成できそうな国は、ボリビア、エチオピア、モーリタニア、セネガル、ザンビアのわずか5カ国のみであるとも報告されています。モラレス大統領になってから社会支出を劇的に増やしたボリビアは、今のところ石油・ガス価格高騰の“貯金”で何とか乗り切れそうだけど、今後、気候変動による不測の支出増が続くとどうなるかわからないということです。そして、IMF、世銀の途上国の危機状況の審査には、気候変動による影響が十分に考慮に入れられていない、と批判しています。


★「北」の危機によるツケは支払わない

 気候変動も金融危機も貧しい国の人々の方が大きい被害を受けていますが、その責任の大半は豊かな国の経済産業活動とライフスタイルにあることは誰しも認めることでしょう。

 8月20日付フィナンシャル・タイムスは、干害と連立政権の機能不全によりケニアの飢餓人口が250万人から380万人へと約50%増加し、また水力発電を中心としているため深刻な電力不足が生じていると伝えています。

 12月にはコペンハーゲンで国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が開かれますが、それに向けてマレーシアに本拠を置く第三世界ネットワークが中心になって「“気候変動債務”の概念を認め、支払え」という署名活動を始めました(署名サイト http://campaigns.item.org.uy/?q=en/node/254 )。北が作り出した気候変動により南が受けた被害額や適応にかかる費用は、北が南に債務を負っているのと同じだ、というわけです。北の責任を明確にして始めて、気候変動への真の取り組みを始められるというものです。これはジュビリーサウスやCADTMなどが主張してきたエコロジカル・デットと主張を同じくするものです。

 社会運動の側だけではなくアフリカ連合(AU)も、「気候変動対策にアフリカ諸国の声を反映させるには一致団結していく必要がある、コペンハーゲンでは毎年60億-200億ドルに上る気候変動対策の無償資金を”(北が作り出した気候変動で南が受ける被害の)補償”として北の国々に要求する方針を固めつつある」とIPSで報じられています。


★民主的で責任ある国際金融システムを

 9月には再度G20が開かれますが、多くの社会運動が、金融・経済危機も気候変動も一国一票でどの国も平等に参加できる国連が中心になるべきだと主張しています。しかし、G8を中心とする大国はできるだけ国連を無視し、G8-IMF/世銀路線で世界の政治経済を決めていこうとしています(そして途上国が必要とする資金もなるべく融資という形で貧しい人々が背負う形にしようとします)。なぜかマスコミもG8、G20には大騒ぎをするのに、国連の重要な(そしてより市民運動の意見にも耳を傾けた)決定や主張はあまり取り上げられません。

 債務問題の解決はすべてが債権者(IMF・世銀、G8、パリクラブ、大銀行など)の意向に握られ、債務危機が起こる原因である融資のあり方から根本的に問い直されることはありません。バルチャー(ハゲタカ)ファンドが最貧国の債務を入手し、不当に莫大な額の返済を要求するなどの”隙間”が生まれるのもそのせいです。

 民主的で責任ある開発資金調達(融資)システムの確立が早急に求められています。1982年の債務危機以降、国際的に債務帳消しの必要性が認識され不十分ながらも実行に移されるまで20年近い歳月がかかりました。今回、根本的解決策の必要性が認識され、実行に移されるまでどれくらい時間がかかるのでしょうか。それまでに人類は、地球環境は、待てるでしょうか?

 「でっと ばい Debt Bye!」編集委員会

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