2009年5月30日土曜日

難民をうみだす「経済援助」になりはしないか?~パキスタン政府への無償資金協力を批判する

秋本陽子 ATTAC Japan(首都圏)

 米国のオバマ大統領がアフガン包括戦略を発表して以来、パキスタン情勢が不安定になっている。

 〔2009年〕417日、東京で開催されたパキスタン支援国会合で、同国のザルダリ大統領は、国際テロ組織が活動する国境付近の部族への貧困対策を訴え、50億ドル超の財政支援を取り付けた。518日、日本政府は約束の一つとしてパキスタン政府が自由に使える20億円の無償資金協力を提供した。

 5月に入ってから、同国の北西辺境州では、タリバン掃討という目的でパキスタン軍による爆撃が展開され、100万を超える国内避難民が出ている。報道によれば、国連(UNHCR)の難民キャンプに入れない人が数十万に上るという。特に女性はティッシュもない、生理用品もない、トイレもないという最悪な状況におかれ、同地域は2005年の大地震以来の悲惨な状況にある。

 北西辺境州は今年2月に政府とタリバンの間で和平協定が結ばれ、静かな日々が続いていたが、政府軍の爆撃開始をもって政府から一方的に同協定は破棄され、再び戦火が広がった。

 ザルダリ大統領の言う「貧困対策」は、債務にあえぐ同国の人びとの貧困解消ではなく、爆撃を可能にする対策に他ならない。今回、日本政府が提供した20億円も爆撃のために使われるのではないか、と危惧される。核を保有しているパキスタンが、日本や米国などの先進国から獲得した資金力で、密かに「核」の軍事利用を狙っているのではないかという危惧も拭えない。